今年のマニプールでの国際ポロ試合中止と州の混乱について(時事ニュース)

昨年マニプールでは部族間紛争があり外出制限が発令、今は解除されているものの、毎年11月~1月にかけて開催されるマニプールでのポロの国際試合が中止となった。今回は、この話題について取り上げたい。






マニプールでの暴動

インド在住者であればよくご存知であろうが、このマニプール州はミャンマーの国境に面しており、昔から部族紛争が多く起こっている場所だ。第二次世界対戦中、当時イギリス軍が支配していたこのマニプールを、日本軍が侵攻して多くの犠牲を出した地域でもある。

このマニプールで、2023年4月頃から部族紛争が起こった。マニプール州で多数派のメイテイ族が、就職や進学で優遇される「指定部族」入りを要求したことがきっかけで、メイテイ族の影響力増大を危惧した少数派クキ族などが反発したもの。この抗議デモは大規模な暴動に発展、政府が外出禁止令等を発令して、この暴動は半年以上にも亘り続くことになり、11月頃に漸く全面解除となった。

マニプールでのポロの国際試合の中止

これまでのこのポロの記事(リンク) の中で、インドがポロの発祥の地であるという証拠がない訳ではなく、”Pulu”という競技が古くから北東インドのマニプール州にて行われていたという話をした。このマニプール州の首都インパールにあるKhurai Polo Club Groundにて、毎年11月~1月に男女の国際ポロ試合が行われている。しかし、今年は上述の暴動により中止となってしまった。

マニプールで毎年行われる男女の国際試合は、世界各国のポロ協会も協力し、毎年この選手が来てくれるの!? と驚くほどの選手の参加もある。2020年の大会では、アメリカの女子ポロ選手として超有名なPamela Flanagan選手が来られていた。彼女自身は弁護士であるものの、保護馬をリトレイニングしてポロ馬に成長させる取り組みも行っている。コロナが落ち着くまでは会議等もオンラインであったため、はるばるインドまで来てくださったそうだ。去年LA FEというアメリカのポロのチームオーナーと結婚され、また、弁護士としてのキャリアに注力したいということで、去年より国際試合では殆ど見ることは無くなってしまった。

最後に…

このように、マニプールでのポロの国際試合は、世界の有名選手も来てくれる由緒あるポロ試合。毎年、インドポロ協会からは、インドポロ協会に登録している女子選手全員に参加募集の通知がある。今シーズンは手を挙げようと思っていたら、暴動で試合は中止。来シーズンこそは開催されることを期待したい所ではあるが、また2024年1月17日に国境セキュリティが射殺される事件が起こり、混乱状態となっているようだ。

ポロ馬がなぜ馬なのに”Polo Pony”と言われるかについては、これまでポロの記事の中でも解説しているが、世界各国を見ても、『ポニー』を使って国際試合をしているのはこのマニプールだけかもしれない。そうゆう意味でも、このマニプールでのポロの試合というものは、ポロ選手にとっては非常に貴重な大会となる。

このマニプールのポロの国際試合にも関わっているフィルムディレクターのRoopa Baruaさんは、マニプールでポロをする女性たちにフォーカスを当てた”Daughters of the Polo God“というドキュメンタリーを数年前に制作された。当時、Roopaさんに上映場所を教えてもらってデリーの劇場まで観に行った。今は予告版しか見れないが、マニプールの素敵な景色、ポロポニーやポロに励む女性達が映し出されている。次回、このマニプールのポニーが減少傾向にあるということについて書きたい。

コロナ前に、Roopaさんから女子の日本チームを作って出場してくれないかという話もあった。ポロ競技が余り知られていない日本人の女子プレイヤーを探すのは非常に困難であるが、いつか実現させたい。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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