お金のかかる馬術スポーツ、馬の輸入には幾らかかるの!? それは、◯◯が買える金額!!

日本で体験乗馬等をしたことがある人であれば何となく想像が出来るかもしれないが、馬術はお金のかかるスポーツである。特に馬術でトップを目指そうとなると、『馬のレベル』も重要になってくる。今回は、インドで馬を輸入するプロセスと一体幾らかかるのか!?という話をしたい。






※内容は個人の知識と経験に基づくものとご理解ください。

① 馬を輸入するメリット

引退競走馬のリトレーニングの記事でも記載しているが、引退競走馬をリトレーニングしてポロ馬に仕上げるには時間がかかる。かつ、一流のポロ馬になれるかどうかも博打だ。インドは競馬が盛んなため引退競走馬は簡単に手に入るが、そもそも、引退競走馬自体がポロ馬に向いているのかどうかというのは議論の余地があるかもしれない。従い、ポロチームを持っている億万長者のパトロンは、基本的にアルゼンチン等からポロ馬を輸入している。

これらの輸入馬がインドという過酷な環境下で、生産国同様のパフォーマンスを出せるか否かという議論は別にして、馬の骨格、体高、体型等も含めて、ポロ馬として生産されて先祖代々ポロ馬として活躍してきた血統の馬を輸入するに越したことはない。障害馬術や馬場馬術のトップ選手たちも、海外からの馬に頼っている。簡単に言うと、馬に幾らお金をかけられるかでランキングが決まると言っても過言ではない。インドの障害馬術や馬場馬術を見ていると、『馬にかかったお金=パフォーマンス』だ。

② インドでの馬の輸入プロセス

私の障害馬術の友人が、フランスからインドに馬を輸入する際に少し手伝ったため、その時のプロセスを紹介したい。2019年の話で記憶が曖昧になっている部分もあり、あくまで個人の経験と知識によるものと認識頂きたい。

STEP
DGFTライセンスの取得

まず、生きた動物を海外からインドに輸入する場合、DGFT (Directorate General of Foreign Trade) ライセンスを取得する必要がある。10頭までの輸入ライセンスが取得可能だが、Stallion (種馬)、Mare (牝馬)、Geld (去勢馬) と、どの性別の馬が輸入できるか枠が決まる。

STEP
輸出側検疫と書類準備

輸入側規制に基づき、輸出側での検疫と書類準備をする必要がある。当時、馬はフランスに居たものの、フライトの関係でドイツの検疫まで持っていく必要があったため、ドイツに輸送後、輸出のための血液検査やVet check (獣医師検査) 等を行い、約丸1ヶ月間、輸出検疫所で過ごした。※馬にはマイクロチップが埋められていてパスポートが発行されていることが前提。

STEP
フライト

検疫期間が終わり、獣医師からのVet Certificateが出ると、いよいよフライト。当時は、ルフトハンザの貨物機でフランクフルトからチェンナイへの直行便でインドへ馬を輸送した。空港到着後はトラックでチェンナイの検疫所に向かう。

航空機用貨物コンテナに入れられる様子
STEP
輸入検疫

インドの動物輸入検疫所は、デリー、ムンバイ、チェンナイにある。チェンナイの動物輸入検疫に到着した後、確か1ヶ月ほどここで滞在して各種検査を受けてクリアランスが出れば、漸く我が家に連れて帰ることが出来る。

チェンナイ検疫所での馬の様子

上記で輸出入通関手続きは割愛しているが、IPA (India Polo Association) は、ポロ馬の輸入関税軽減について税関当局と議論を続けているようだが、まだ実現はされていない。当時の輸入関税のメモを見ると、”30% + 10% + 12% on CIF value” と書いてあり、かなり高額だ。

③ 馬の輸入にかかる費用

で、実際に馬の輸入1頭に幾らかかるかと言うと、トヨタプリウスが1台買えるほどの金額だ (今のインドルピーから円への換算金額の前提)。

上記金額は、以下の項目の合算。

  • フランスからドイツ検疫所への輸送費用
  • 輸出検査手続き費用(検疫所や獣医師検査費用等)
  • 輸出通関手続き(検疫所から空港への輸送費用含む)
  • フライト費用
  • 輸入通関手続き費用(関税、空港ハンドリング費用、空港から検疫所への輸送代等)
  • 輸入検査手続き費用(検疫所や獣医師検査費用等)
  • その他諸経費(検疫所でのエサ代等)

当時の実際の1航空貨物コンテナあたり (2頭分) のドイツからチェンナイへの輸送費用はEUR 15,000だった。私が手伝った馬の輸入は、Warmbloodという血統の障害馬で、飛行機のコンテナに3頭入らなくないものの、スペース的に身動き出来ずキツイため、2頭のみ入れるのが標準。従い、ポロ馬のような小柄な馬だと1コンテナに3頭入れられるため、1頭あたりのフライト金額は安くなる。

最後に…

多くの方々には役立たない記事であったと思うが、そんな世界なんだ!と思ってもらえたのではないかと思う。勿論、私のような底辺貧乏ポロプレイヤーは馬を輸入するお金などない。それよりも、引退競走馬のセカンドライフとして、引退競走馬でポロを引き続き頑張りたい。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏





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コメント

コメント一覧 (2件)

  • インドでは馬術用馬の需要はどのくらい有りますか?
    突然の質問で恐縮です。
    仕事柄興味がありコメントさせて頂きました。
    宜しければお教え頂けると有り難く存じます。🙏

    • どの位という数値で表すのは難しいですが、インドで幾つかアジア大会等の参加のためのトライアルを行える乗馬クラブがあるため、
      それらの乗馬クラブで開催されるレベル別での馬場馬術競技の参加者数を見れば、おそらく需要の予測がつくのではと思います。

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