デリー中心部に残された歴史的緑地Jaipur Polo Groundの終焉(2026年6月)

今週、デリーのJaipur Polo Groundが中央政府によって接収されたというニュースが大きな話題になっている。以前から噂はされていたものの、実際に政府による占有が行われたことで、デリーのポロ界にとっては衝撃的な出来事となった。今回は、このニュースについて少し触れてみたい。






Jaipur Polo Ground(JPG)とは?

Jaipur Polo Groundは、デリー中心部の競馬場敷地内に位置する、インドを代表するポロ競技場の一つとなっている。その起源は1930年頃まで遡り、ジャイプール王家のマハラジャ、Sawai Man Singh IIがポロ競技の振興を目的としてDelhi Polo Clubに土地を提供したことが始まりとされている。

その後、土地はインド政府の管理下に置かれ、1951年には政府がDelhi Polo Clubに対してリースを設定した。さらに長年にわたりIndian Polo Association(IPA、インドポロ協会)が施設を管理・運営し、数多くのポロ試合が開催されてきた。特にデリーのポロシーズンでは、最終試合はこのJPGグラウンドで行われるというポロプレイヤーにとっても特別な場所となっている。

この土地は、「ジャイプール王家が提供した歴史的なポロ場」である一方で、法的には長年にわたり政府所有地として扱われ、インドポロ協会が利用するという複雑な経緯を辿ってきた。その歴史的背景から、デリーにありながら「Jaipur Polo Ground」と呼ばれている。

2022年の日印国交樹立70周年記念事業のクロージングイベントでは、日本の伝統馬上武芸である流鏑馬と、インド軍によるテントペギングの合同演武がこのJPGで開催された。馬を通じた日印文化交流の舞台としても利用されていたことから、もしかするとこの場所を訪れたことのある日本人の方もいるかもしれない。

今回何が起きたのか

2026年5月、住宅都市省(Ministry of Housing and Urban Affairs)傘下のLand & Development Office(L&DO)は、インドポロ協会に対して退去命令を発出した。

政府は、この土地が「より大きな公共目的(larger public purpose)」のために必要であると主張したが、現時点で具体的な利用計画は公表されていない。これに対しインドポロ協会は法的措置を取り、デリー高等裁判所および下級裁判所において執行停止を求めた。

しかし裁判所は差し止めを認めず、2026年6月13日、政府職員が現地に入り物理的な占有を開始した。敷地内には「この土地はインド政府の財産である」と記載された通知も掲示された。

今回の争いは、「王家から贈られた土地を政府が取り上げた」という単純な話ではない。問題の核心は、「誰が正当にこの土地を利用する権利を持つのか」という点にある。

政府側は、インドポロ協会が利用していた契約やリースは既に失効しており、現在の占有には法的根拠がないと主張している。一方でインドポロ協会は、長年にわたり地代を支払いながら施設の維持・管理を続けてきた経緯があり、今回の退去命令は恣意的かつ違法であると反論している。インドポロ協会は、今後も法的手段を通じて争っていく方針のようで、実際に協会からのメッセージもポロ協会登録クラブ宛に共有されている。

最後に..

この土地が今後どのような姿になるのかはまだ分からない。しかし今日トラクターで芝生が破壊されたニュースが飛び込んできた。もうこの場所でポロの試合が行われることはないのであろう。

実は私自身、このグラウンドで2026年3月後半に一度だけインド軍との親善試合に出場している。当時は大きな裏切りがあり、約3か月間ポロから離れていた。それでも出場を決めた理由の一つは、「このグラウンドは近いうちに無くなるかもしれない」という話を耳にしていたからだった。結果的に、その試合は私にとってJPGでの最初で最後の試合になってしまった。JPGにとってもグラウンドが使われた最後の日となった。その裏切りと3か月ぶりの試合の話については、また別の機会に書いてみたいと思う。

JPGでのポロの試合

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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