全力疾走の後にある未来、インド引退競走馬のセカンドライフについて

走るために産まれてくるサラブレッド。競走馬として走り現役を引退した後、日本ではおそらくその大半が行方不明となる。昨今、日本では『引退競走馬のセカンドライフ』ということが注目されているが、今回はインドの引退競走馬のセカンドライフについて取り上げたい。




*内容はあくまでの個人の知識と経験によるものとご理解頂きたい。

インドに殺処分という選択肢はあるのか

冒頭から若干暗い話に聞こえるかもしれないが、私がポロで乗っている馬は、引退競走馬のリトレーニングのブログで、インドの競馬を引退したサラブレッドという話をした。2022年11月に北海道で写真展を開催した際、競走馬をポロに使えることに大変驚かれた。どうやら日本の競走馬はかなり気性が荒いよう。

話を戻して、数ヶ月前にインドでG20が開催された時に、動物に関する法律は少しこの記事でも取り上げたが、インドでは基本的には競走馬の殺処分という選択はない(勿論、獣医判断による安楽死等はある)。インドの競走馬はだいたい3~6歳程度で引退する。競馬で活躍していたり、成績に関係なくオーナーが引き続き持っていたりする場合には、もう少し年齢が上の競走馬もいる。従いこれらの競走馬は、引退後はどこかの施設で引き取られることになる。 

私の愛馬の1頭。競走馬時代の写真(競走馬とは思えない腹ボテ…笑)。


インドの引退競走馬のセカンドライフ 

インドの引退競走馬のセカンドライフとしてどういった選択があるかというと、おそらく以下だ。 

① ポロ選手に引き取られ、ポロ馬として活躍する 
② 乗馬クラブに引き取られ、障害馬術や馬場馬術等で活躍する
③ 動物保護施設に引き取られる(怪我や病気がある場合)

④ 余生を過ごす養老施設に預けられる
⑤ ペットとしてファームで飼われる

その中でも、引退競走馬の行先として最も多い場所は、①と②ではないかと感じる。①のポロは体高160cm以下の馬体の小さな馬が好まれる。一方②の乗馬は、障害馬術や馬場馬術等用に大きな馬が好まれる。また、①のポロを経た後の馬は子供達が乗っても比較的安全なため、ポロを引退した後も、子供達やビギナーを乗せるために②の乗馬クラブからオファーが来る。③~⑤は、競走馬のオーナー、または引退後に引き取ったオーナーがこのような施設で余生を見ている。 

競走馬時代から1年経った後(先々週)に撮影した写真。5歳だが、顔つきも男らしくなった。

インドの引退競走馬の数 

そもそも、インドにどれだけの競走馬がいるのかというと、2018年の記事によると3000頭の牡馬がおり、毎年1800頭の子馬が産まれているそうだ。一方日本では、2022年の生産馬数は約7800頭であったようで(参考記事)、生産数についてはインドは日本の約5分の1の数となる。 

ポロの公式試合では最低4頭の馬が必要となる。リザーブ含めて6頭持つのが基本の世界。私が所属するポロクラブでは、今年はポロ選手15名が正規メンバーシップを持っており、これらの選手が持っている引退競走馬だけで楽に120頭程度になる(輸入馬を除く)。インドには現在約350名程度がハンディキャップ登録をしているため、試合に行くとまた多くの引退競走馬を見ることなる。因みに、私がボランティアで通っているグルガオンの大きな動物保護施設には、軍や警察を引退した馬を含めて80頭ほどおり、その約半数が引退競走馬だ。 

実際に毎年生産される1800頭が馬主に渡り、競馬を終えた後に全て引き取り先があるのかということをロジックを組んで推察するのは割愛するが、日本に比べると行先の選択肢が多いということは言えるであろう(生産数自体が日本に比べて少ないが…)。

最後に…

私の愛馬達はポロを引退した後は、私の相棒としてそのままポロクラブ内の厩舎で過ごすことになる。ポロクラブ内の厩舎やパドックのスペースには限りがあるため、いつかポロクラブの近くにファームを借りて、外国のような大きな青草のパドックを作って馬たちと過ごすのが夢だ。 そして引き続き自馬以外への引退競走馬への支援も行って行きたい。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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