G20がいよいよ2023年9月9日と10日にニューデリーで開催!しかし、その裏側で起こっている問題とは!?

G20サミットがいよいよ今週ニューデリーで開催される。インド在住者としては何だか1年前からスポーツイベントなりで騒いでいたため、寧ろ既に終わったのではないかと感じていたほど。

G20の開催に伴い話題にしたいのが、このG20の裏側で起こっていることで、今週7日から始まるデリーでの交通規制ではない。グルガオン在住者にとっては特段関係も影響もない。

問題は、今デリーではG20のために街中を整備して綺麗にしており、その中で野良犬が一時的に捕獲されており、政府と動物愛護・保護団体でのバトルとなっている。




野良犬はG20にとって邪魔者なのか

まず初めに、私は動物愛護や権利を主張するAnimal Activistではないことを言及しておきたいが、連日インドのニュースやSNSでは、G20のためにMunicipal Corporation of Delhi (MCD、デリー地方政府) が野良犬を捕獲し、一時的にシェルターに送っている話題が取り上げられている。これは、G20の派遣団や旅行客への”Inconvinience”(支障)を排除するための措置だ。

MCDは、G20終了後には野良犬を元のテリトリーに戻すとしているが、実際には、捕獲のために引きづられ袋に詰められ殴られたりもしており、本当にG20後にリリースされるのかという不安も含め、インドの法律上でこれらの行為は違法だという声が動物愛護・保護団体等から上がっている。今日 (2023年9月5日)、People for Animalsというインドで大きな動物愛護・保護団体がオフラインでのカンファレンスも開いた。MCDが行っている野良犬の捕獲について、簡単なビデオも上がっている(閲覧注意)。

個人的には、野良犬がダメなら街中をウロウロしている牛や豚や猿は大丈夫なのだろうかと気になるところではあるが、こういった野良犬や動物達が街中を歩き周り、懸命に生きる姿は今のインドそのものを映し出しており、特にインド貧困層の縮図ではないかとも感じている。と、ちょうど貧困層について言及していたら、友人のSNSにこんなのが上がっていたためシェアしておきたい

余談だが、外国人の女性が撮影したインドの街と生活に溶け込む野良犬の姿を撮った写真集”Slum Dogs of India”は、私のお気に入りの写真集でもある。

購入先: https://www.amazon.in/Slum-Dogs-India-Eloise-Leyden/dp/1858945046

以前、『インド旅行&生活で気をつけたい野犬・野良犬との接触』ということでブログを書いたが、全ての野犬や野良犬が危険という訳ではない。ただ一方で、インドには動物保護の法律が存在するものの、実際には路上で野放しにされている現状が、このように一時的な措置をせざるを得なくなっている原因ではないかとも感じている。

動物に関するインドの法律

動物に関するインドの法律として、まず初めに、The Constitution of India (インド憲法) の第51A(g)条には、”Article 51A (g) places a duty on the citizens of India to protect and improve the natural environment and have compassion for all living creatures.”と書かれており、全ての生き物に対して思いやりを持つことをインド国民の義務としている。 この憲法を前提に、Prevention of Cruelty to Animals Act, 1960という法律を元に、Animal Birth Control Rules等の詳細規則が定められている。 

法律に興味ある方は、Animal Welfare Board of Indiaのウェブサイトをご参照:https://awbi.gov.in/

これらの法律や規則では、勿論、野良犬を殺したり傷つけたり有害物を与えたりすること等は禁止されている。未去勢・未避妊の野良犬を他の場所に動かすこと等も違法である。しかし現実はどうなのか。例え野良犬を苦しめて殺しても、刑法上の懲罰は投獄又は数十ルピーの罰金、又は両方。幾ら法律や規則があっても、州の高等裁判所からの命令があれば、州単位では野良犬を殺すことも出来てしまい、これが様々な矛盾を生んでいるのではないかと推察する。

実際に、1年程前にムンバイの高裁が、野良犬に餌を与えたい場合にはまずAdoption (里親として引き取ること) を行う旨の命令を出した。これは実際問題として現実的なのだろうか。その他、カルナタカ州はバンガロールを野良犬ゼロの都市にすると発言しており、ケララ州が野良犬による人間への攻撃や狂犬病の高まりを受けて、危険動物を処分・監禁できる処置を最高裁に対して求めているニュースは直近で沢山出てくる。 

普段インドの深い闇まで見ることのない私にとっては、動物に優しい国だと感じることは間違いない。でも、悪い見方をすると、野良犬や動物たちが路上で放置されているのかもしれない。インドの街中はゴミだらけで野良犬だけでなく牛や豚やカラス等がゴミをあさっている。このゴミこそが野良犬を増加させている一因だと動物愛護・保護団体は発言をしている。 

最後に…

今回のG20の裏側で起こっている野良犬排除の出来事だけでなく、野良犬の狂犬病や人間に危害を加える事象が増加していることを含めて、インドの野良犬問題はインドでの大きな課題と感じる。政府と動物愛護・保護団体との争いは続くが、動物と人間が共存・共生していける社会を望みたい。私自身犬を飼っており、1匹はダニ熱で亡くしてしまったが、両方ともインドでの保護犬だ。

私自身が動物保護施設で写真家としてボランティア活動しているのは、私が撮った写真が保護施設のSNSに上がり、1匹でも多くの動物の里親が見つかるようにとの願いからだ。保護施設から1匹里親に出てくれたら、保護施設は新たに保護できる動物のキャパが出来る。そんなサイクルが回るように願っている。しかし現実は厳しく、3年前に撮影したこの写真のブリード犬であるドーベルマンでさえ、未だに里親が見つかっていない。 家庭犬で大人気のラブラドールやゴールデン・リトリーバーも保護施設では多く見かける。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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