8月15日の終戦記念日に考えたい、インドボパールの忘れてはならない悲劇

8月15日は、終戦記念日として多くの人が戦争の犠牲者を追悼して平和について考える日であろう。広島と長崎には、原爆の悲劇を後世へ伝える平和記念公園や資料館があるが、半年ほど前に、インドのマディヤプラデシュ州政府が、1984年のボパールガス事故を伝える大規模な記念施設を整備する構想を進め、そのモデルとして広島・長崎の平和記念施設を参考にしたいと発表した。「ボパールガス事故とは何だったのか」、今回はこれについて書きたい。






世界最悪級の企業災害

1984年12月2日深夜、インド中部の都市Bhopal(ボパール)で、世界最悪級の産業災害が発生した。アメリカの化学メーカー「ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)」のインド子会社が運営する農薬工場から、MIC(メチルイソシアネート)という猛毒のガスが大量に漏えいした。

事故当時、工場ではコスト削減のために人員や設備の維持管理が縮小され、安全装置の一部も十分に機能していなかった。タンク内に水が混入したことで化学反応が暴走し、約40トンの有毒ガスが夜の街へ流れ込んだ。深夜に発生した事故であったため、住民の多くは眠っている最中だった。しかし、突然目や喉に激しい痛みを感じ、息ができなくなり、住民は何が起きたのかも分からないまま家族を抱えて逃げ惑った。事故直後だけで数千人が死亡し、その後の関連死を含めると1万5千人から2万人以上が亡くなったと推計されており、50万人を超える人々が何らかの健康被害を受けたとされている。

この事故で、現在も多くの被害者が呼吸器疾患や眼の障害、神経系の後遺症などに苦しんでいる。工場跡地周辺では土壌や地下水の汚染を懸念する声が続き、十分な環境浄化や医療支援、補償を求める活動も続いている。1989年にはインド政府とユニオンカーバイド社との間で和解が成立したが、多くの被害者団体は、補償額や事故後の対応が十分ではなかったと訴えている。2001年にユニオン・カーバイド社を買収したダウケミカル社も、この問題をめぐって長年議論の対象となっている。

私はこのボパールガス事故を、『ボパール 闘う市民たち』というアジアンドキュメンタリーズで視聴できるドキュメンタリーで知った。近年では、Netflixの『The Railway Men』が事故当日に多くの命を救った鉄道職員たちを描き、世界中で改めてボパールガス事故への関心を高めた。

私が知っているボパール

ボパールという都市は、インド駐在員や在住者でも、なかなか訪れる機会のない場所かもしれない。私はボパール出身の友人が何人かいることもあり、これまでに数回この街を訪れたことがある。街中はごみが少なく、きれいに整備されている。ムスリムの住民が多い街だが、深夜でも人通りがあり、街には活気がある。少なくとも私が訪れた限りでは、デリーNCRのように「女性が夜に外を歩くのは少し怖い」と感じるような雰囲気は、ほとんどなかった。

ボパールの湖の眺め

また、オフロード好きにとっては、ボパールはちょっとした「聖地」でもある。周辺ではオフロードレースが多く開催され、バイク好きにはたまらない場所だ。そして個人的には、今でもHEROのオフロード旧モデル、Impulse 150を街中で見かけることだ。今はXpulseとなりImpulseは販売されていないが、マニアにはImpulseは根強い人気がある。Impulseを普通に見かけるのは、もしかするとボパールくらいなのかもしれない。

HERO Impulse !!

私のバイク記事はこちら

一度、ボパールで友人とチャイを飲むために車を停めようとした際、うっかり後ろに停まっていたバイクに「こつん」と当ててしまったことがある。そのバイクが次々と倒れ、まさかのドミノ倒し…!! 一瞬、「やばい、大変だ!」と思ったが、周りにいた人たちも一緒になってバイクを起こし、「弁償しましょうか?」と声をかけても「そんなの要らないよ」と言われてそのまま終わった。きっとハリアナだったら、殴り合いの喧嘩になっていただろう笑。そんな穏やかで、人の温かさを感じる街がボパールだ。

最後に..

最近、マディヤプラデーシュ州政府は、ボパールガス事故の犠牲者を追悼し、その教訓を後世へ伝えるための大規模な記念施設を整備する構想を発表た。その構想では、広島・長崎の平和記念施設のように、「悲劇を忘れず、未来へ教訓を伝える場所」を目指すとされている。事故から40年以上が経った今も、ボパールは過去の出来事ではない。歴史は、語り継がれなければ忘れられてしまう。映画やドキュメンタリー、そして記念館には、その記憶を未来へ残すという大切な役割がある。の記念館ができたら、再度ボパールに訪れてみたい。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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