流行中の鼻疽が止めたインド競馬と、その影響を受けるポロと引退競走馬(2026年1月現在)

日本ではもう何十年も耳にすることのない鼻疽(グランダーズ/Glanders)という、馬などの家畜に感染する細菌性疾患がある。日本の馬関係者にとっては過去過ぎて何それ?という感じかもしれないが、この記事でも触れている通り、インドでは決して珍しいものではない。実際、今年は南インドの複数の競馬場で鼻疽の陽性馬が確認され、冬季シーズンのレース開催がキャンセルとなった。こうなると競馬は比較的長期間中止となり、全頭検査となり競走馬の移動も完全に止まる。今回は、その影響をポロ競技と引退競走馬という視点から少し考えてみたい。






2025年後半からの鼻疽の流行

今回の発端は、南インドのマイソールという場所にある競馬場で2歳馬が鼻疽に感染して死亡したこと。同時期にバンガロールの競馬場でも数頭の陽性反応が確認された。その後、ハイデラバードでも複数頭の馬の感染が確認され、事態は南インドの競馬界全体に広った。感染経路はわかっていないが、鼻疽は、感染馬の鼻汁や体液で汚染された飼料や水を他の馬が口にすることで広がる病気のため、レース開催は中止され再開の目処は立っていない。長引くことが予想される。因みに、インドの競馬はインド国内の気候・馬の状態に合わせて設定されており、南インドはちょうど冬季レースが進んでいる最中であった。

ポロへの影響

このニュースを受けて競馬だけでななく全ての馬関係者は神経質になっている。というのも、鼻疽になれば助からないため、感染リスクを遮断しなければならない。鼻疽が確認されているのは南インドだけであるが、北インドでも発生しているが隠されているという噂もある。

北インドには、ICAR‑National Research Centre on Equines(NRCE)という国立のロバや馬等のエクワイン研究機関がある。ここはデリーの南、日本人が一番多いグルガオンを中心都市に持つハリアナ州のビハールという都市にある。ここに採取した血液を送ることで鼻疽の検査を行うことができる。ポロもここで記載している通り約1ヶ月頃に開催される地域が変わるため、公式試合に出場する場合には鼻疽の検査結果を持っておかないと、試合会場に入れない。そしてこの検査結果は1ヶ月のみ有効と短い。鼻疽は感染力が高く馬同士で簡単に広がるため、短期間での検査更新が求められている。

今、インドはジョードプルでのシーズンがあと1週間で終わり、再来週からジャイプールに移動するという節目。ジャイプールの後はデリーでフルシーズンが終わるが、どのポロクラブも外部からの受け入れについては厳格な対応を行うようで、私が所属するポロクラブも、シーズンを終えて戻ってくる馬達の陰性テストは必須となり、現時点で練習試合含め開催未定となっている。

引退競走馬への影響

インド競走馬のセカンドライフについてはここに記載しているが、インドのポロでは主に引退競走馬が使われている。昨今の問題は、ポロに適した引退競走馬を見つけるのが困難になっている上に、今年は鼻疽が追い打ちとなりそうだ。北インドでも競馬場は複数あるが、デリーが主要拠点となっており、北インドの競馬は南インドに比べると競馬産業としての規模は小さい。従い、ポロで使う引退競走馬は南インドで探すと見つかり易い。ポロシーズンが半分終わるこの時期は、ポロ関係者は来シーズン以降に向けての準備として引退競走馬を探し始める頃で、周りの厩舎には新しい馬をちらほら見るようになった。ただ、南インドで目星をつけていた馬は、鼻疽で馬の移動が禁止されていつ移動できるのか目処が立たなくなってしまった。

最後に..

引退競走馬をリトレするには数カ月から年単位での月日が必要になる。ここで記載している通り、ポロで戦える馬になるには1~2年の月日を要する。そしてその引退競走馬が活躍できるかも博打だ。昨今のインドポロの流れとしては、アルゼンチンからプレイングポニー(試合に出られる馬)を輸入する、或いはサラブレッドの牝馬とアルゼンチンのポロ用の種牡馬を交配させるという動きが強くなっている。特にプロ達は、プレイングポニーを抱えつつ新しい馬も作っていかないと、来シーズン以降継続的に戦っていけない。この鼻疽によってプロ達の来シーズン以降の戦略や練習計画に影響が出てきそうで、これが長引くと大きく影響することになる。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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