本日、私のWhatsappグループやSNSを賑わせているのが、最高裁がデリーNCRの野良犬を収容施設に収容し、公共の場へ戻さないよう指示を出した話題。今回はこの話題について触れたい。
最高裁によるデリーの野良犬問題への指示
最高裁(J.B.パルディワラ判事およびR.マハデーバン判事)が出した主な指示は以下。
- 収容施設の整備(デリー首都圏(NCR)、デリー市政公社(MCD)、ニューデリー市政公社(NDMC)は、8週間以内に野良犬のための収容施設を設置すること。施設には、避妊・予防接種済みの犬やその他の野良犬を適切に世話する人員を配置し、CCTVで監視し、犬が街中に放たれないようにすること。)
- 段階的収容開始(6〜8週間以内に5,000匹を収容できる施設から開始し徐々に拡大。市内および周辺地域から野良犬を捕獲し、必要なら専用部隊を設置してでも、すべての地域を野良犬のいない状態にすること。捕獲に妨害があれば厳しく対処する。)
- 記録の管理(MCD・NDMC・ノイダ・ガジアバード・グルガオンの当局は、捕獲および収容した野良犬の毎日の記録を保持し、次回審理時に提出すること。捕獲した犬を元の地域に戻すことは厳禁で、違反があれば厳しい措置を取る。)
- 通報窓口の設置(1週間以内に犬咬傷事件を通報できる専用のヘルプラインを設置し、通報があれば速やかに対応すること。)
今回の最高裁の指示に至るまで、
①幼児や小さな子どもが狂犬病の犠牲になることは絶対にあってはならない。安心して自由に外を歩ける状況を作るべきであり、感情論を持ち込むべきではない、
②避妊手術済みであろうとなかろうと、社会は野良犬から解放されるべきだ。ある地域から犬を捕獲して避妊手術を行った後、元の場所に戻すのは全く合理性がなく、意味をなさない、
③避妊手術は繁殖を防ぐだけで、狂犬病の危険性はなくならない、
などと議論・指摘がなされたようだ。
因みに、今回の最高裁がこういった指示をするきっかけとなったのは、少女が犬に襲われたことで死亡した事件であるが、少女の死因は髄膜炎でニュースの一部が切り取られて良いように使われていると指摘されている。
この最高裁指示を受けてペットオーナー、動物愛護団体等がこれしか方法がないのかと猛反発しているが、今回の最高裁指示で注目したいのが、職権(suo motu)で審理が開始され、最終的に「Directions(指示)」として明確に判決文とされているため、強制力が発生しているということである。要は、最高裁判事の職権で自主的に取り上げられた話題での指示が出たが故、行政毎の従来のルールより最高裁命令が優先され、行政が実行しない場合は即座に最高裁が再審理して是正命令を出せる可能性が高いということである。数週間後にヒアリングが行われる模様ではあるが、国の司法の最高機関から出た指示であり、ヒアリングで修正は勝ち取れたとしても、撤回をするのは難しいかもしれない。
最後に…
インドで野良犬は”Community Dog”(地域犬)として親しみを込めて呼ばれている。今回の最高裁指示が、野良犬の根本原因を踏まえた上での指示であるかはわからないが、非現実的で費用もかかるこの指示の実現可能性について疑問視されていることは確かだ。日本人からしたら、そんなことよりもこういったグルガオンの現状をどうにかしてほしいと思う。添付の記事でも書いた通り、G20で野良犬たちが一時的に捕獲されてデリーNCR地域のクリーンなイメージを植え付けたが(?)、また今回の指示も汚いものに蓋をするだけの措置ではないかと感じる。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏
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