インドビジネスで苦戦する債権回収、小切手不渡りは刑事責任追及

インドにいると、お金を貸したら戻って来ないと思った方が良いと言われる。むしろ、手を貸したら腕を取られると思えと、逆にインド人の友人からも言われる程。今回は、そんなインドでの代金回収の話を簡単にしたい。




インドの小切手文化と代金回収リスク

インドに移住して銀行口座を開設した際、自分名義の小切手帳を渡された。小切手なんて見たことがなかったが、インドでは家賃や電気代等の個人の支払いでも小切手が使われることがまだまだ多いと聞いて驚いた。ATMで下ろせない1万ルピー以上の現金は、小切手に”SELF”と書いて銀行に持ち込むことも初めての経験だった。インドのビジネス上でも、現在も小切手が使われることも多くある。

インドでビジネスを行う上で、どの会社も代金回収には苦戦するのではないかと推察する。知り合いが勤務する日系企業は、基本的にインド企業とは取引していないそう。前払いやCash on Deliveryにしてリスクヘッジすることはよく行われるが、インドでのビジネス拡大を狙うには、日系企業以外との取引や与信を与えることはどうしても避けられないであろう。しかし、これにはどうしても代金回収のリスクが付きまとう。

小切手の不渡り

インドでは、振り出された小切手が不渡りになると、民事ではなく『刑事追及』となる。しかし、小切手の決済日から30日以内にLegal Noticeを発行する必要があり、これはNegotiable Instrument ActのSection 138で規程されている。

オンライン取引の場合には民事訴訟するしかないが、なぜ小切手が刑事訴訟できるかと言うと、小切手だと銀行口座に残高がなかったとしても先日付けの小切手を振り出すことができ、これは詐欺や不正行為と見做されるためのようだ。しかし30日の期限を過ぎてしまうと民事訴訟するしかない。

代金回収での刑事訴訟と民事訴訟の違いは、刑事訴訟の場合には最終的に警察を動かすことが出来るのが最大のメリットとなる。私の経験上、民事訴訟をしても債務者はのらりくらり出来てしまい、インドでの裁判は悠久の時の流れとなる。金額が小さければ弁護士費用の方がかさみ、結局は泣き寝入りせざるを得ない。もしかしたら代金回収を敢えて小切手で行うことは、最終的にメリットに繋がるのかもしれない。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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