先週からインドでは、2024年2月29日以降、RBI (Reserve Bank of India: インド準備銀行) がPaytm Payments Bank Limitedの取引を制限するというニュースで持ち切りだ。今回は、このニュースについてシェアしたい。
“Paytm “とは!?
インドで”Paytm (ペイティーエム)“を聞いたことがない人は居ないという位であろうが、Paytmは電子決済サービスを提供するフィンテック企業だ。会社名はOne97 Communications Limitedで、”Paytm”はブランド名、Vijay Shekhar Sharma氏が2010年に北インドのデリーの隣の州にあるノイダで立ち上げた会社。ソフトバンクもインドのSVF India Holdings (Cayman) Limited経由で出資しているため、日本国民にとっても注目度が高い企業であろう。
Paytm以外に電子決済サービスを提供する会社で有名なのは、”PhonePe”が挙げられ、これはバンガロールを本社とする会社。南インドに行った時には、PaytmよりもGoogle Paya等の方が良く使われており、Paytmは北インドの方が利用者数は多いのであろう。Paytmのアクティブユーザー数は3.5億人を超えており、PhonePeは1.18億とのことだ。北インドではどんなローカルショップや道端の移動式ショップに寄ってもPaytmのQRコードがある程で、現金を持ってなくても全く困らない。
RBIの制裁先、”Paytm Payments Bank”とは!?
さて、今回RBIが制裁を行ったのは、Paytmの中でも銀行業務を行っている”Paytm Payments Bank Limtied”という会社。適切な身分認証手続きを経ない口座開設が数十万件あるとのことで、コンプラ違反としてRBIが、2024年2月29日以降の新規口座開設、預け入れ、ウォレット、道路通行料支払い (FASTags) 等の各種取引を禁止する。実質的にはライセンス剥奪に近いであろう。一方で、PaytmのCEOのVijay氏は、当局であるEnforcement Directorateからのマネロンに関する調査等何も行われていないことを会社広報を通じて指摘している。
Paytmは、数ヶ月前の2023年12月上旬に小口融資の削減を決定し、戦略的な方針転換であったが、株価が20%急降下。数ヶ月経って漸く株価が上向きになろうかとしていたところで、今回のRBIからの制裁。株価は更に20%以上下落し、会社のEBITDAに影響を与えている。ゴールドマンサックス、JPモルガン、シティ等の大手金融グループ数社も、Paytm株の投資判断を引き下げている模様。ソフトバンクも2024年1月末に更にPaytmの株式の2%分を売却して、保有株式を5%までに減らしている。
最後に…
Paytmから以下のQ&Aが出されているが、基本的にはPaytm Payments Bankのユーザーでなければ大きな影響はない。例えば、Paytmアプリを利用していても、他銀行口座とリンクさせているUPI (Unified Payments Interface) での支払いは通常通り行え、PaytmのQRコードにも影響はない。ただ、Paytm Walletは、Paytm Payments Bankの管理下にあるため、2024年2月29日以降は残額を消費することは出来るが、Walletへの金額追加は出来ないため注意したい。
最後まで読んで頂き有難うございました🙏
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