インドでのサイバーストーカー被害と、情報・発信者開示請求による犯人特定に至ったステップ

もう数年前の話で少し重い話題であるが、インドに移住してからインスタグラムを使ったサイバーストーキングに遭った。何度も幾つかのアカウントでユーザー名を都度変えることで、しつこくダイレクトメッセージが来たりフォローリクエストがあったり、ブロックしてもしても日々追われた。こういったことは気にしないタイプであるが、余りにしつこく半年ほど続いたため、身の安全のために最終的にインドで情報・発信者開示請求を行うことにした

特にインドは女性に人気のある国。私と同じような事に巻き込まれる女性もいるかもしれない。なので、私がインドでどうやって開示請求を行って犯人を特定したのかについて、シェアしておきたい。




① 開示請求に至るまで

サイバーストーキングの概要

まず、インスタグラムをやっている人なら分かるが、インスタグラムのアカウント登録には、Email IDと携帯番号さえあれば良く、ユーザー名はいくつでも登録することが出来る。かつ、登録後もこのユーザー名は簡単に変更・削除することが出来る

誰がこのユーザー名を使っているかは、SNS運営会社にしか分からない。身元を隠してSNS上で自由に投稿・会話できるということだ。これがインスタグラムでのサイバーストーキングを増加させている要因と考えるが、犯人は、おそらく主に3つの柱となるユーザー名を作り、この3つのユーザー名を都度変えることで、私に一度に多くのメッセージを送って精神的に追い詰めてきたと推察している。どのような内容だったかは、ここでは割愛しておく。

開示請求方法の調査

You Tubeで日本の芸能人が誹謗中傷で開示請求を行い、本人特定に至ったという動画を何度か見たことがある。ネットで調べると、日本の開示請求は、まずはSNS運営会社に開示請求を行い、ここでIPアドレス等が公開されない場合には、インターネットのプロバイダに対して発信者情報の開示請求を行える裁判所からの仮処分申請を行う必要がある。これは早くても半年~1年ほどかかるようだ。果たしてインドではどうすればいいのか

弁護士であるインド人の親友に相談した結果、インドでは裁判所ではなく警察に対して依頼するようだ。何となく誰がストーカーしているのか私の中で90%確信があったこともあり、対応検討する上で、まずは探偵 (Personal Investigator) へ調査依頼をすることにした。結果的に、私が取ったインドでの開示請求のステップは以下。

私が取った開示請求のステップ

① 探偵を利用しての調査と犯人特定
② 上記を踏まえ、サイバー警察への調査依頼
③ 犯人特定と対応協議
④ 事件化しないことで、サイバー警察への申請取り下げ

② 開示請求のステップとアクション

前述の開示請求のステップについて、具体的にどのようなアクションを取りどれだけの期間がかかったかについて纏めてみた

① 探偵を利用しての調査と犯人特定

個人的にコネクションのあった探偵事務所に相談をして、犯人特定には幾つか方法はあるが、私が多くの証拠を残しておいたのものあり、一番簡単な方法で、インスタグラムに登録しているEmail IDと携帯番号を入手する方法で依頼を行った。具体的にどうやったのかは聞いているが、ここは機密保持の観点から伏せておく。

時間はかからないとのことで、何と、レポートはたった1週間で上がってきた。犯人は私の予想通りだった。ここでLegal Notice (法的通知) を犯人に出すことも可能であったが、親友の弁護士さんと相談をして、刑事追求のF.I.R.の可能性を残すため、公のステップを取ることとした。インターネットを使ったサイバーストーキングであったため、グルガオンにあるCyber Police (サイバー警察) に対して調査依頼をすることにした。

② サイバー警察への調査依頼

サイバー警察へ情報・発信者の調査依頼を行うため、まずはサイバー警察への依頼・説明文を作成することに。証拠等も全て付けたため、全部で20ページほどになってしまったが、冒頭にサイバー警察に対して何をしてもらいたいのかという依頼を明記して署名した。この説明文は親友の弁護士さんにも一応添削してもらい、実際には刑事事件に強く警察とコネクションのある弁護士を起用して、グルガオンのサイバー警察に出向いて申請を行った。

申請を行ったのは、2021年7月半ば。警察署に到着して通された部屋で警察官を待ち、その後、30分ほど何が起きたか説明を行い、申請書に受領のスタンプと管理番号が記載された。これはコピーがもらえないため、携帯などで撮影して残しておくのを忘れないようにしたい。警察官からは、調査開始して何か分かったら電話するとのことで、一緒に行った親友弁護士と刑事弁護士2名の携帯番号が控えられた。

③ 犯人特定と対応協議

日本の開示請求は時間がかかるとネットに書いてあったため、インドもきっとそうだろうと思っていたら、1ヶ月ほど経った時に友人から警察から内容聴取の電話がかかってきたと連絡があった。そう、実は探偵の調査結果で分かった犯人は、友人の友人だったのである。

またその2週間後に警察から、犯人が分かり警察に呼び出したと連絡があった。警察がどのようにして犯人を特定したのかは不明だが、強い脅迫等がなく、事件・犯罪性が薄いため、F.I.R.を行うのは難しいかもしれないが、どうしたいか決めて欲しいと連絡があった

その後、親友の弁護士さんと相談してどうするか迷っていた。一番の懸念は再発と逆上による二次被害だった。ただ、犯人が友人の友人であったこともあり、取り下げしようという方向性では考えていた。

④ サイバー警察への申請取り下げ

決断を迷っていて数週間が経った後、再度別の警察官から電話があり、前の担当者が異動になったため案件を引き継いだとの連絡だった。この警察官からは、私が申請を取り下げた後も、同じ管理番号でいつでも申請をオープンに出来るとのことだったため、申請を取り下げる決断をした

ただし、このようなストーカー行為は許されることではないため、申請を取り下げるのであれば、犯人を呼んで二度と同じ事をしない旨の宣誓書を書かせると伝えられた。その後、犯人が警察署に出向き宣誓書を提出。同日、警察官から私も呼ばれて警察署に出向き、申請を取り下げる旨のレターを署名して提出を行った。これで案件クローズとなった。

探偵の調査や私自身の準備期間を除いて、サイバー警察に対して申請を行ってから、たった2.5ヶ月程で解決となった。私が希望すれば損害賠償等を求めて民事裁判をすることは出来たが、そこまではしないこととした。

③ 最後に…

今回私がシェアしたのは、インスタグラムでの情報開示請求で、どれだけ証拠があるかによってもかかる時間は違うかもしれない。これはインドに限らず日本でも一緒だろうが、もしインスタグラムで誹謗中傷やストーカー被害を受けている人がいたら、当該ユーザー名のURLや投稿ページのURLを取っておくことと、全てのメッセージ等をスクショしておくことをお勧めする。インドでは比較的短期間で犯人特定出来る可能性があるため、私のようにSNSで誹謗中傷やストーカー被害を受けている人が居たら、泣き寝入りせず弁護士に相談して欲しい。

私自身のインドでの開示請求は、今回探偵を雇って、刑事事件に強い弁護士も雇い、本気で戦う予定でいたため、それなりにお金はかかった。ただ、警察を絡めたことでその後一切犯人からの連絡は消えている。インスタグラムでの変なダイレクトメッセージも一切来なくなり、平和な日々が来たことは、かかった費用よりも大きかった。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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