馬の蹄鉄は幸せを呼ぶものとして世界的に信じられている。このように馬に関連して、インドでは独自の迷信が存在する。今回は、馬に関連するインドでの迷信について紹介したい。
① 黒い馬
まず1つ目。黒い馬は『幸運』と『不幸』の両方のパターンがある。『幸運』の方は、黒い馬で4本脚ともに白いソックス (マーキング) があること。『不幸』の方は、真っ黒で身体の一つにもマーキングがないこと。どちらも、過去の歴史等からしても神話に書かれていたり、何がしかのロジックはなさそうだ。
特に、『幸運』の方の迷信を知ったのは、この写真のSarangというマルワリとサラブレッドの混血の馬がきっかけ。私がインドに来た当初、ポロクラブの厩舎に居た。世界中で愛読されている”Black Beauty”という黒い馬の物語があるが、Sarangを初めて見た時は正に”Black Beauty”、何て素敵な馬なのかと圧倒された。当時は未去勢のスタリオンでもあり、厩舎の中で荒々しくしている姿が格好良かった。そして、暫くこのSarangの前で写真を撮っていると、クラブのメンバーがやってきて、『この馬、4本脚に白いソックスあるでしょ?これはラッキーな証拠だよ。凄くいい馬だ。』とこの馬のオーナーでもないのに誇らしげに話していたのを覚えている。
因みに、黒い馬の蹄鉄にも価値があり、よく会社の人にも黒い馬の蹄鉄をくれないかと言われる。黒い馬の蹄鉄は高値で取引されているようだ。
② 脚に巻く黒い糸
2つ目は、馬の4本脚のどれかに巻く黒い糸。これはどの乗馬クラブの馬を見てもだいたい付いている。これはインドの文化の1つで、黒い糸を巻くことで”Evil Eye” (邪悪な目) から守ってくれ、幸運をもたらすということが信じられているためだ。インドの占星術的には、ラーフとケートゥから守ってくれるという意味がある。ラーフとケートゥは、実際の星ではなく日食月食が起こるポイント (虚星、凶星) で、いわゆる『バグ』。これから守ってくれるという訳だ。
私の厩舎でも、毎年ポロシーズンが始まる前に全頭の脚に黒い糸を巻いている。私は暇があれば、『叶結び』という日本的な縁起の良いと言われている結び方で紐を作ることもある。これは。表側が「口」で裏側が「十」の形に見えることから「叶」結びと呼ばれている。
③ 額にある2つのつむじ
3つ目は、額にある2つのつむじ。この写真で分かるだろうか。白い額のマーキングの部分とその左上にもつむじがある。この馬は私の愛馬の1頭。つむじが2つあることはコーチに教えてもらい気付いた。額の2つのつむじは幸運を意味するが、これも根拠のないもの。人間でも2つのつむじがあると知能の高さを表すということも言われているようだが…。しかし、どの馬を見ても2つのつむじがある馬はなかなか居ない。そんな『稀』な現象だからこそ、こういった迷信が生まれるのであろう。
因みにこの愛馬はもうすぐ16歳になるが、精神的にも肉体的にも強いセン馬で、過去4年半で大きな病気や怪我が全くない。私の中での”Best Playing Pony”だ。非常に頭もよく、しっかり厩舎やパドックのパイプを締めておかないと脱出してしまう。この2つのつむじが幸運&インテリの象徴であることは間違いない。
最後に…
もし日本や他の海外で信じられている馬に関する迷信があれば、是非コメントやコンタクトフォームから教えてもらいたい。
最後まで読んで頂き有難うございました🙏
コメント