5ヶ月前の話になるが、厩舎で飼っていた愛犬のRingoがこつ然と姿を消した。失踪して10日後にバラバラ遺体で見つけるという悲劇。Ringoの死を受け入れられず、この話を書くべきか迷ったが、Ringoが生きた証を残したいため、書き留めておくことにする。ブログが長くなるため、今回は第1話として、失踪と捜索活動について書きたい。
①愛犬Ringoとの生活
亡くした愛犬のRingoは、2024年5月で2歳になるピットブルとの雑種だった。お母さんは隣の厩舎におり、Ringoは厩舎で生まれて厩舎で育った生粋の”Barn Dog”。厳密にはコーチが引き取った犬だが、私自身はLailaをダニ熱で亡くしていたのと、コーチが海外遠征で厩舎を離れることが多かったため、自分の犬としてお世話を任されていた。この厩舎では誰の犬かとか誰の馬かとかは関係ない。みんな『家族』なのだ。
コーチはオーストラリアでの国際試合とザンビアへの出稼ぎで3月半ばからずっと不在。ポロもオフシーズンが故、勤務歴が長いグルーム達も厩舎を離れたり休暇で実家に帰ってしまったりする時期。私は毎朝と毎晩、雨の日も嵐の日も厩舎に通った。馬のことは心配していなかったが、Ringoのことが気にかかっていた。
Ringoが生まれた時、ちょうど私の馬達はジャイプールにいた。Ringoが生まれて2ヶ月経った時、Ringoはジャイプールの61st Cavalryの中の厩舎で育てられた。従い、私はRingoとは約7ヶ月ほど一緒に過ごしていない。Ringoのことを一番に可愛がってくれていたグルームも、4月上旬に厩舎を離れることになった。
そして4月下旬、1年程不在にしていた厩舎のマネージャーが戻ってきてくれた。Ringoも小さい時にジャイプールで一緒に過ごしているため、少しは安心できるかな!? と思っていた。厩舎にいるPlaying Pony達は既に3月下旬から完全休養。私は若いトレーニング中の馬達だけに乗っていたが、Ringo優先にしようと決め、5月1日から全頭完全休養。そして、Ringoとは毎朝と毎晩一緒に散歩に出かけていた。そんな矢先に事件は起きた。
②愛犬Ringoの失踪と捜索活動
- 2024年5月4日 (土)
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いつも通りの週末。馬達の餌やりやシャワーを終えて20時~20時半くらいに厩舎を出るのが夜の日課だった。厩舎を出ようとした時、Ringoがちょこんと座ってずっとこっちを見ていた。何だか私をじーっと見ているようで気になり写真を撮った。
- 2024年5月7日 (月)
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いつも通りの朝。厩舎にバイクで早朝に着くと、並足をしている馬達を見ながら、いつも通り厩舎脇のニームの木の下で私を待っててくれているRingoがいた。バイクを止めるとタックルして喜んでくれる。木の下ではなくアリーナまで降りてきている時は、興奮してバイクに乗っている私の左足を口でくわえて厩舎まで一緒に上がっていく。朝からわちゃわちゃしてくれるのが毎朝の幸せな時間だった。そして厩舎に着いてからは散歩に向かった。この晩の写真は残っていないが、夜19時半に少し早めに厩舎を出ようとした所、マネージャーからバイクを貸して欲しいと言われ、帰ってくるまで待つことに。マネージャーが帰ってくるまでRingoと一緒に過ごした。Ringoは疲れて私の隣で寝ていた。
- 2024年5月8日 (火) 朝
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この日は朝6時に厩舎に到着。厩舎に着いてもRingoがどこにも見当たらない。Ringo!と叫んで大好きな音が鳴るボールを鳴らしても出てこない。近くにいたグルームにRingoは?と聞くも、”pata nahin” (分からない) と言われる。大パニック。起きて欲しくないことが起きたと思い、会社には休暇の連絡、マネージャーにはRingoを探すよう指示して周りの厩舎のグルーム達への聞き込み調査を開始。私が前日20時に厩舎を離れてからの情報はほんの少しだった。
- 厩舎最年長グルーム情報: 朝4時から起きているが、既にその時にはRingoは居なかった。
- 厩舎マネージャー情報: 夜中1時半に自分のベットの下で寝ていたことは確認している。夜中はジャッカルが煩かった。ジャッカルが鳴いているということは、ヒョウが居た可能性が高い。
- 隣の厩舎のグルーム情報: 夜中の2時半頃に起きてしまいテント外に行ったらRingoが居てインド犬のJoluと遊んで用を足して戻って行ったのを見た。
- 隣の隣のグルーム情報: この日の夜中は犬が酷く吠えていた記憶がある。
グルーム達を信じてRingoを夜中に繋いでおかなかったことを後悔する。でも後悔してももう遅い。完全に私の落ち度。盗まれたのかヒョウに襲われたのか…盗まれたならまだ近くに行ってはいないはず。ヒョウに襲われたのならどこかに痕跡があるはずだと思い、まずは厩舎周りの藪をひたすら歩き、Ringo!と叫び、大好きだったボールを鳴らして歩いた。しかし、Ringoは出てこなかった。5月にもなればインドは40度の灼熱。12時頃に一旦家に戻り、夕方から捜索を再開することにした。
家に戻ってからは、近くに住んでいる友人達にRingoの失踪の連絡をして、SNS用の捜索フレイヤーを作り、動物保護センターやFBのLost Dogのサイト等で発信してもらった。
- 2024年5月8日 (火) 夕方
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この日の夕方16時、再度厩舎に向かった。敷地外の厩舎裏の農村での聞き込み活動は厩舎マネージャーに任せ、私は敷地内でRingoがどこかにハマって抜けられなくなっている、迷子になっている、或いはヒョウに襲われて木の上にいる、等という可能性を考えて、いつも行かない場所も歩いた。夜18時、厩舎壁裏の荒野を探そうということで、厩舎マネージャーと最年長グルームと一緒に2km先の水場まで向かった。しかし、一切の手がかりは出てこなった。帰り道、隣の厩舎のポロ仲間のおっちゃんと鉢合わせ。おっちゃんが犬達と一緒に捜索してくれていた。そして、この日にRingoの母犬が妊娠していることに気付く。何となくこの子達はRingoの生まれ変わりで、Ringoはもう見つからないのかもしれないと感じた。
- 2024年5月9日 (木)
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失踪した次の日の朝。いつも通りバイクで厩舎に向かうと、遠くから厩舎に黒い犬がいることが見えた。もしかしたら….と思いバイクのスピードを出して向かうと、Ringoの母犬と兄弟犬だった。普段単独で私の厩舎まで来ることはない母犬と兄弟犬。Ringoが居ないことを察知して来たのだろうと思い号泣する。会社に向かうまでの時間、一緒に過ごしてくれた。
- 2024年5月9日 (金) ~2024年5月14日 (火)
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連日連夜、捜索活動を続けた。ポスターも作り会社の携帯番号を書いた。普段使わない会社携帯。この会社携帯が鳴れば手がかりの可能性が高いと期待していたが、全く鳴らない。一切の情報が出て来なかった。
絶望。
信じたくはなかったが、本当にヒョウの仕業ならここしかないと思い当たる場所があった。そこは、厩舎すぐ裏で、何かの骨が落ちていることは何年も前から知っていた。時々犬達が何かの骨を拾って厩舎に持って帰ってくることもあった。木を1本1本見て歩き、ジャッカルらしき足や何かの大きな巣穴も見つけるが、人間に近すぎる場所。こんな大都会で本当にそんなことが起こるのか…私にとってはロジカルではなかった。それよりも、こつ然と無くなった犬用のラグビーボールと青い大きなハンドル付きのボールが気がかりだった。
そんな絶望の中、動物保護活動を一緒にしている友人から、アニマルコミュニケーターに頼ってみるのも最後の手段かもしれないと教えてもらった。3年程前、保護施設にいるビーグルのシニア犬がブリーダーに盗まれた時、アニマルコミュニケーターの情報を頼りに探し当てられたそう。しかし、当時のアニマルコミュニケーターからは返事がなく、別の友人から別のコミュニケーターの番号を教えてもらった。
③最後に頼ったアニマルコミュ二ケーター
2024年5月15日 (水)、会社のお昼休みの時間を使って、教えてもらったアニマルコミュニケーターに連絡を取った。電話で愛犬が1週間前から失踪しており見つかっていない旨を伝え、メッセージを送るからそれに従って情報を送って欲しいと言われた。アニマルコミュニケーターにどのような情報を渡し、その夜にどんな答えが返ってきたのかは、後の方の話で詳しく書きたいと思う。
次回に続く…
最後まで読んで頂き有難うございました🙏
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